*File 3:第1回入院生活E*



その6:先輩患者さんとの出会い

それは病名確定から4日後のことでした。

「今外来にクローン病の人が来てるんだけど、
あなたにその気があるなら、話をしてもらうように言ってあげるけど。どうする?」という
主治医の言葉に、「はいはい、喜んでー^^」と即答した私。

その人はKさんといって、40才の男性でした。
25才で発病して、病歴15年とのこと。

初対面にもかかわらず、ただ同じ病気を患っているという一点で、
その人は、自分の病歴、現在の状態、私へのアドバイス等を
限られた時間の中で色んな話をしてくださいました。

私がKさんに言ってもらった言葉の中で、一番心に残ったのは、
「とにかく切ったらダメ。どんなにボロボロになっても腸さえ残っていたら
いつか特効薬が出来て治るってことも考えられるでしょ。」という言葉でした。
『特効薬』・・そうか、いつか特効薬が出来たら完治する日が来るかもしれないんだ!と
この言葉は、発病して間もなく、真っ暗な道を手探りで歩いていた私に、
『希望』という一筋の明かりを灯してくれた・・正に、そんな感じでした。

いつもの外来のつもりでやって来たのが、
いきなり初対面の私に向かって、
同病というその一点だけで、自分の辛い話をしてくださったKさんに、
心から感謝してやみません。
この場をお借りして、「Kさん、本当にありがとうございました。」
またいつか外来でお会い出来るだろうという軽い気持ちから、連絡先を伺っていなかったため、
その後すぐに転院を決めた私は、Kさんとはこれ以来お会いしたことはありませんが、
私が発病して一番最初にお話してくださった先輩患者さんとして
ずっとずっと私の心の中に残っている方です。



その7:食事開始

あれだけ待ちに待った食事開始。
でも、正直、最初のひと口は、「やっと食べれる」という喜びよりも、
「ほんとに食べちゃっても大丈夫なんだろうか・・?」という不安の方が
強かったような気がします。

でも、いざ食べてみると、本当になんでもないようなメニューなんだけど
ほんとおいしかったッス。
でも、でも、人間ってほんと贅沢ですよね。
最初は「おいしー^^」って思って喜んでいた食事も、
いつもいつも出てくるものは同じもので、だんだんと飽きてきて、
「やっと食べれる〜」って思った最初の感動の心は
いつの間にやら、どこへやら。

あと、同室の「私なんか乳がんよー」と言って
私を励ましてくれた?Mさんに、
いつも私に運ばれてきた食事を覗き込まれて、
「今日は何?どんな物が出たん?」といわれるのが
なんか・・たまらな〜くイヤでしたね^^;
まっ、悪気はないんでしょうけど。